先日のお受け取り

先日のお引き取りの紹介です。前回の小振りな鉈のお客さんと同日のご来店でした。目つむってますが寝てる訳じゃないですよ!広島を中心にご活躍中のアーティスト石原悠一さんが今回のお客さんです。

 

ご注文は、「エビ鉈の刃渡りが長くて柄が短いもの」という事でご相談頂いていました。

その回答として、私が大学生時代にお世話になった教授が研究しており、その後の進路にも影響を与えた道具である「泊鉈」(とまりなた)をアレンジして作らせて頂きました。

 

 


泊鉈は、富山県の新潟県境に近い朝日町泊地区一帯で昔から作られて来た鉈で、作り手と使い手の切磋琢磨の歴史を経たかなり使いやすく美しい鉈です。独特な形状ですが、先端の出っ張りが地面を叩いてしまったときの刃先の保護や、遠くの枝などをたぐり寄せる時に役立ちます。

 

在学当時は大久保さんという野鍛冶さんが、ただ一人、泊鉈の生産者として頑張っておられました。今もご健在なのでしょうか?教授についてこの方の作業場を見学に行って、「野鍛冶おもしろいな」と思ったのが今に至る大きな体験の一つでした。

 

 

泊鉈は、地金を7:3の割合に割ってそこに鋼を割り込む割り込み作りの片刃という珍しい作りの鉈です。3割の側の地金を大きく剝き取って片刃の裏すきにして作られます。しかし、今回のご注文では、ご希望があって本来片刃形状につくられるはずの泊鉈を両刃で作っています。

 

腰入れ(刃の部分と柄の部分の取り付け角度)の角度は、石原さんの想定する用途に合うように私物の昔の泊鉈を参考にしつつ、汎用性を持たせています。これをもって山に入るのがメインの用途ですが、木や竹を割る細工もしやすいようにやや浅めの角度にしています。

 

柄も、古い泊鉈についていたかつての持ち主の手作りと思われる物が石原さんの手に合ったため、木工家の斉藤さんに地元で入手した桑材でコピーを作って頂いた物です。地元の松炭で鉄を加熱して叩き、地元の木で柄を挿げる事が出来、なんと無く嬉しいです!

 

これからも引き続き、「鍛冶工房金床の泊鉈」を作っていきたいと思える楽しい仕事でした!

ちなみに、写真で私が持っているのが私物の古い泊鉈です。在学当時購入した大久保さん制作の物より薄い作りで、身幅がある印象です。腰入れもきつめで、山で振り回す道具って感じです。

 

 

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